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裁判年月日 平成 8年 5月29日 裁判所名 東京高裁

事件番号 平4(行ケ)142号

事件名 審決取消請求事件

 

主文

 

 特許庁が、昭和59年審判第9911号事件について、平成4年4月30日にした審決を取り消す。

 訴訟費用は被告の負担とする。

 この判決に対する上告のための附加期間を30日と定める。

 

事実及び理由

 

第1 当事者の求めた判決

 1 原告

  主文1、2項と同旨

 2 被告

  原告の請求を棄却する。

  訴訟費用は原告の負担とする。

第2 当事者間に争いのない事実

 1 特許庁における手続の経緯

  被告は、発明の名称を「2軸強制混合機」とする特許第1088763号発明(1971年8月20日ドイツ連邦共和国においてした特許出願に基づく優先権を主張して昭和47年6月7日特許出願、昭和54年11月14日特許出願公告、昭和57年3月23日特許設定登録。以下「本件発明」という。)の特許権者である。

  原告は、昭和59年5月23日、本件発明につき、その特許を無効とする旨の審判の請求をした。

  特許庁は、同請求を昭和59年審判第9911号として審理し、平成元年4月6日、「特許第1088763号発明の明細書の特許請求の範囲1ないし4に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決をしたが、同審決は、当庁平成元年(行ケ)第189号審決取消請求事件において平成2年6月7日に言い渡された判決により取り消されたため、特許庁は、これを受けて更に審理した結果、平成4年4月30日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年6月11日、原告に送達された。

 2 本件発明の要旨

  (1) 特許請求の範囲第1項記載の発明(以下「本件第1発明」という。)

 特にコンクリート、ビチューメン混合物および石灰砂岩の混合に用いられる2軸強制混合機であって、混合槽を備え、該混合槽中に設けた複数の混合具を有する2本の混合軸は、水平に配置され、減速機と少なくとも1台の駆動モータとにより互いに反対の回転方向に同期駆動され、減速機の入力軸と駆動モータの軸とは混合軸に対して直角に配置され、該混合具の周縁部の描く円は互いに交わり、さらに該混合槽の下方部分に排出用滑り弁を有する2軸強制混合機において、混合槽1は自己支持構造であり、駆動装置5の減速機9、10は混合槽1に軸承された混合軸31に着脱自在に設けられ、混合軸31は潤滑油室により外部に対してシールされた軸受3を介して混合槽1に保持されており、ローラ状の排出滑り弁35は混合槽の下部に滑り弁軸36、37及びベアリング47を介して承台38に取付けられていることを特徴とする2軸強制混合機。

  (2) 特許請求の範囲第2~第4項記載の発明

  別添審決書写し記載のとおり(第2ないし第4発明)。

 3 審決の理由

 審決は、別添審決書写し記載のとおり、請求人(原告)の主張した本件第1~第4発明は、特許法36条4項又は5項(昭和51年法律第46号による改正前のもの)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとの無効理由1につき、これを認めず、また、同法29条1項3号又は同条2項の規定に違反してされたものであるとの無効理由2及び3につき、「本件第1~4発明は、甲第1~3号証及び甲第6号証(注・本訴甲第4~6号証及び甲第8号証)に記載された発明とは認められず、またこれら甲各号証に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。」、「本件第2~4発明・・・に関する甲第7号証(注・本訴甲第9号証)による示唆如何が・・・判断を左右するものではない。」とし、原告が主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明の特許を無効とすることはできないとした。

第3 原告主張の審決取消事由の要点

 1 審決の理由中、本件発明の要旨の認定(審決書2頁末行~4頁末行)、無効理由1についての判断(同5頁16行~7頁1行)は認める。

  無効理由2及び3についての判断のうち、(1)実公昭36-29975号公報(甲第4号証、審判事件甲第1号証。以下「引用例1」といい、その発明を「引用例発明1」という。)の記載事項の認定、(2)及び(3)の本件第1発明と引用例発明1との一致点及び相違点の各認定、(4)の米国特許第2961224号明細書及び図面(甲第5号証、審判事件甲第2号証。以下「引用例2」といい、その発明を「引用例発明2」という。)及び「BAU UND BAUINDUSTRIE 1/1963」13~14頁、17頁(甲第6号証、審判事件甲第3号証。以下「引用例3」という。)の各記載事項の認定(審決書7頁2行~10頁18行)は認める。

  同(5)の「CAVEX DBP」と題するパンフレット(甲第7号証、審判事件甲第5号証。以下「引用例4」といい、その発明を「引用例発明4」という。)及び「BULLETIN 7100、Aug.1960」18~19頁(甲第8号証、審判事件甲第6号証。以下「引用例5」といい、その発明を「引用例発明5」という。)の記載事項の認定(審決書10頁19行~11頁11行)を争い、同(6)の進歩性の判断(同11頁12~末行)を争う。同(7)のうち、特公昭45-35954号公報(甲第9号証、審判事件甲第7号証。以下「引用例6」といい、その発明を「引用例発明6」という。)の記載事項の認定(審決書12頁1~9行)は、その限度では認めるが、進歩性の判断(同12頁10~13行)は争い、同(8)及び(9)の進歩性の判断(同12頁17行~13頁2行)は争う。

 2 審決は、本件第1発明と引用例発明1との相違点の判断において、引用例発明4及び6の技術内容を誤認し、かつ、引用例6及び引用例2に示される技術水準の下で、引用例発明1に引用例発明4適用することによる、本件第1発明の容易推考性の判断を誤り、その結果、本件第1~第4発明の進歩性の判断を誤ったものであるから、違法として取り消されなければならない。

  (1) 本件第1発明と引用例発明1の混合機との実質的な相違点は、前記判決が本件第1発明の特許請求の範囲に記載されていないのにかかわらず要旨と認定し、かつ、これを受けた審決も同様に本件第1発明の要旨と認定した構成「A」すなわち「駆動装置すなわちモータ及び2個の減速機が、何れも混合槽に直接取り付けられ、混合槽と一体形をなしている構成」若しくは「モータを含む駆動装置を混合槽に支持せしめて一体化する」点を、引用例発明1が具備していないとの1点である(審決書9頁7~18行)。

  (2) 審決は、この相違点の判断において、「甲第5号証(注・引用例4)は、これが本件特許に係る出願の出願前頒布されたとするに足る証拠はないが、この点は措くとしても、そこにはただ差し込み式ウォーム伝導装置、モータ(とみられるもの)、減速機(とみられるもの)等の配置を示す図面等が記載されているに過ぎず、また甲第6号証(注・引用例5)には、モータと被駆動体との簡単な配置図等が記載されているだけのものであるから、これら甲各号証をもって第1発明における『A』の構成等につき云々することはできない。」(審決書10頁19行~11頁11行)と判断している。

  しかし、引用例4(甲第7号証)は、本件優先権主張日前に市販されていたウォーム軸上減速機の公知資料であり、モータなしのウォーム軸上減速機とともに、「モータとウォーム軸上減速機とを結合することによって、モータ付きウォーム軸上減速機という、まとまりのある1個の駆動装置を得る技術」を開示したものである。

  モータ付き減速機に関しては、本件優先権主張日前に、すでに「減速機(ギヤケース)」と「足付きモータ」とを「取付けベース」により一体化し、モータの回転力を「軸継手」を介して「減速機(ギヤケース)」に伝えるようにした一体構成型の駆動装置が当業者に周知であったことは明白である(甲第13号証・「歯車便覧」400頁以下「1.3ギヤードモータおよびモータ付き減速機」の項)。

  引用例4(甲第7号証)には、モータ付きウォーム軸上減速機が示されており(同号証19頁、1.4図)、モータからの回転力を減速機の入力軸に伝達する方法を採用している点で、本件発明の実施例に使用されている駆動装置を構成するモータ付きウォーム軸上減速機と同一のものであり、これを2軸強制混合機の混合槽に装着さえすれば、単にそれだけで、自ずとウォーム減速機とモータの両者が共に混合槽に直接取り付けられた態様になることは、全く疑いを挿む余地がない。

  また、引用例5(甲第8号証)においても、基本的に引用例4の上記モータ付きウォーム軸上減速機と同様の構造の「モータ付き軸上減速機」が黙示的に開示されている。

  (3) 引用例6(甲第9号証)記載の2軸強制混合機は、2本の混合軸が同期回転をする混合機であり、その駆動装置は1個のモータと2個の軸上減速機とから構成されている。

  すなわち、引用例発明6は、2本の混合軸が垂直に起立した縦軸タイプの混合機であるが、上記構成「A」のうち、「モータおよび2個の減速機」からなる駆動装置により駆動される混合機が記載されて公知であったのみならず、この引用例発明6の混合機においては、駆動装置を構成する2個の減速機が共に軸に取り付けられており、何れも混合槽に直接取り付けられて混合槽と一体形をなしている。この駆動装置を、上記構成「A」と対比すると、引用例6にはモータの取付態様が明記されていないとしても、駆動装置に関する本件優先権主張日当時における技術水準に照らすと、一般に、すべて駆動装置はモータ等の原動機と減速機とからなるものであり(甲第14号証・「減速機の選び方使い方」)、この「モータ付き減速機」の利点が単一の動力源(駆動装置)として占有面積が少なくて済み、どの用途にも適用できる融通性があり、非常に広範囲に使用されている(甲第13号証・「歯車便覧」400~401頁)ことは、周知の事実であったから、当業者が引用例6の駆動装置をみれば、引用例6に構成「A」が記載されていると理解できる。

  また、本件第1発明と同じく2本の混合軸が水平に横置きされた横軸タイプの混合機においても、軸上減速機を少なくとも1本の混合軸に装着したものが引用例2に記載されており、「減速機が混合槽に直接取り付けられ、混合槽と一体形をなしている構成」は公知になっていた。

  (4) そして、引用例6に開示されている駆動装置の径違歯車(軸上減速機)68を引用例発明1の混合軸5、6に装着するに当たり、この2台の軸上減速機に代えて、引用例4に記載された本件優先権主張日当時市販されていたモータ付きのウォーム軸上減速機(前記1.4図に示されたもの)1台及び同じく引用例4に記載され市販されていたモータなしのウォーム軸上減速機(引用例4の17頁記載のもの)1台を、引用例発明1の混合機の2本の混合軸に装着したうえで、これら2台の軸上減速機の入力軸相互を、周知のカップリング(甲第15号証・「歯車便覧」398~399頁)により接続することにより、本件第1発明の混合機を得ることは、何らの技術的困難性を伴うことなく実現できるものであり、当業者が適宜なしうる設計的事項である。

  (5) 審決は、本件第1発明では、引用例1には記載されていない前記構成「A」若しくは「モータを含む駆動装置を混合槽に支持せしめて一体化する」点により、「従来の2軸強制混合機では『多大の空間及び費用を要し、またスタフイングボックス構造による混合槽のシールは保守が非常に困難である』という問題点を解決した」(審決書9頁19行~10頁2行)と認定しているが、公知のスタフィングボックス構造の保守の困難性を解決する手段は、本件第1発明の前記構成「A」ではなく、出願当初の本件特許出願から分割された特願昭54-89175号(特開昭56-18165号公報、甲第17号証)に記載の構成であることは明らかである。よって、スタフィングボックス構造による混合槽のシール保守に関する審決の前記認定は到底正当とはいえない。

  (6) したがって、本件第1発明は、引用例6及び引用例2に示される技術水準の下で、引用例発明1に引用例発明4を適用することにより容易に推考できるものであるから、特許要件たる進歩性を有しないことは明らかである。

  以上、要するに、本件優先権主張日当時における2軸強制混合機を含めた産業分野における駆動装置に関する周知技術は、前掲「歯車便覧」(甲第13、第15号証)、「減速機の選び方使い方」(甲第14号証)に示されているところ、審決は、本件優先権主張日前に当業者に周知であった「モータと減速機から成る駆動装置」に関する技術水準を認識しておらず、そのために、引用例4及び6に記載されている本件第1発明の構成に対応する技術的構成の認定を誤り、かつ、引用例発明1に引用例発明4を適用することの容易推考性の判断を誤り、その結果本件第1発明の進歩性の判断を誤ったものである。

  (7) 本件第2~第4発明についても、本件第1発明と同様、構成「A」に関する審決の判断は誤りであるから、違法として取り消されるべきである。

第4 被告の反論の要点

 1 審決の認定判断は正当であり、原告主張の審決取消事由は理由がない。

 2 取消事由について

  (1) 本件第1発明と引用例発明1との実質的な相違点が原告主張のとおりであることは認める。

  (2) 引用例4にモータなしのウォーム軸上減速機及びモータ付きのウォーム軸上減速機が図示されていることは認めるが、引用例4は、これらの減速機が個々に存在することを示しているにすぎないのであって、本件第1発明の構成「A」に関する記載はなく、また、これを示唆する記載すらないことは明らかである。

  (3) 引用例6には、混合機の駆動装置が原動機78及び減速装置である径違歯車68からなること、径違歯車68が各支持環66の下部に取り付けられていることは記載されているが、原動機78自体が混合機ないしは混合槽に直接取り付けられている旨の記載又はこれを示唆する記載は何ら認められない。

  本来、構成「A」は、「駆動装置すなわちモータ及び2個の減速機が、何れも混合槽に直接取り付けられ、混合槽と一体形をなしている構成」というように、一体のものとして理解すべきであり、これを「モータ及び2個の減速機」からなる駆動装置という前半部と、これらが「何れも混合槽に直接取り付けられ、混合槽と一体形をなしていること」という後半部とに分解したうえで、それぞれについて別個に公知技術との関係を検討するような考え方自体がそもそも誤りである。

  原告の主張は、「減速機」が混合槽に直接取り付けられ、混合槽と一体形をなしている構造が引用例6及び引用例2に開示されているといっているにすぎず、「モータを含む駆動装置」については何ら触れるものではなく、これを公知であるとする根拠はない。

  したがって、原告のいう引用例6及び引用例2に示される技術水準が、本件第1発明の構成「A」とは何ら関連のないことは明らかである。

  (4) 原告は、引用例6に開示されている駆動装置の径違歯車(軸上減速機)68を引用例発明1の混合軸5、6に装着するに当たり、この2台の軸上減速機に代えて、引用例4に記載された本件出願当時市販されていたモータ付きのウォーム軸上減速機(前記1.4図に示されたもの)1台及び同じく引用例4に記載され市販されていたモータなしのウォーム軸上減速機(引用例4の17頁記載のもの)1台を、引用例発明1の混合機の2本の混合軸に装着したうえで、これら2台の軸上減速機の入力軸相互を、周知のカップリングにより接続することにより、本件第1発明の混合機を得ることは、当業者が適宜なしうる設計的事項であると主張する。

  しかし、上記主張は、論旨が甚だしく不明確であるうえ、合理的根拠のない主張である。

  すなわち、引用例1においては勿論であるが、前記のとおり、原告主張の引用例4にも、また、引用例6及び引用例2にも、いずれも本件第1発明の構成「A」に関する記載はなく、また、これを示唆する記載すらないことは明らかである。

  原告は、上記各引用例の記載事項を部分的に取り上げて、それらの部分的記載を組み合わせれば、本件第1発明の構成「A」が達成できるかのように主張しているが、各引用例には、この部分的記載を組み合わせることを開示、示唆する記載がないから、構成「A」を達成することが設計的事項であるとする原告の主張は、何ら合理的根拠がない。

  (5) 本件明細書の発明の詳細な説明には、本件第1発明の目的ないし作用効果として、「スタフィングボックス構造による混合槽のシールは保守が非常に困難である」という従来装置の欠点を解消したという趣旨のことが記載され、「費用及び空間の節約」のほかに、副次的な表現ながら、混合槽のシールの「保守の必要が少ないこと」が記載されている。

  スタフィングボックス構造による混合槽のシールとは、混合軸の周囲にパッキン室を設け、このパッキン室と混合軸との間にパッキンを挿入し、このパッキンをパッキン押えにより軸方向に圧縮させて混合軸の周囲とパッキン室の内面を密着させることにより、混合槽内の液体が混合軸の周囲から漏洩しないようにした混合軸の密封装置(シール装置)のことである。

  本件第1発明のように、駆動装置(モータ及び2個の減速機)が混合槽に直接取り付けられた自己支持的でかつ一体形の構造の場合には、混合軸の軸心も、パッキン室の軸心も、混合槽によって位置決めされることになるため、両者を一致させることが容易になり、両者に偏心が生じにくくなるため、シール装置の保守の必要が少なくなる。

  このように、本件第1発明の特徴である自己支持的でかつ一体形というコンパクトな構造、あるいは審決がいう構成「A」は、混合軸のシール装置の保守の必要を少なくするという作用効果にも関連しているのであるから、この点においても、本件第1発明と原告主張の各引用例発明とは相違するものである。

  (6) 原告は、原告主張の各引用例の部分的記載を組み合わせれば本件第1発明の構成「A」が達成できるかのように主張しているが、以上のとおり、各引用例を組み合わせる合理的根拠はなく、また、目的ないし作用効果の点においても、各引用例と顕著な相違があるから、本件第1発明に進歩性がないとする原告の主張は失当である。

  (7) 本件第2~第4発明についても、本件第1発明と同様、構成「A」に関する審決の判断に誤りはないから、原告の主張は失当である。

第5 証拠関係

  本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立はいずれも当事者間に争いがない。

第6 当裁判所の判断

 1 取消事由について

  (1) 本件第1発明と引用例発明1とを対比すると、「両者は、ともに混合槽を備える2軸強制混合機であり、その用途についても共通し、また第1発明における『ローラ状の排出用滑り弁35』は、この技術における『排出用の回転摺動子3』に相当し」(審決書8頁1~5行)、引用例発明1は、「第1発明の場合と同じく、この技術でも、その混合槽中に複数の混合具を有し、水平に配置された2本の混合軸が互いに反対の回転方向に同期駆動されるようになっており、またその駆動は、この技術でも通常減速機を介する駆動モータにより行われるもの」(同8頁6~11行)であり、また、本件第1発明における「混合軸31は潤滑油室により外部に対してシールされた軸受3を介して混合槽1に保持されており」との点、「減速機9、10は混合槽1に軸承された混合軸31に着脱自在に設ける」点、「減速機の入力軸と駆動モータの軸とは混合軸に対して直角に配置する」点及び「ローラ状の排出用滑り弁35は混合槽の下部に滑り弁軸36、37及びベアリング47を介して承台38に取付ける」点は、いずれも引用例発明1に実質的に開示されているか、もしくは、単なる設計上、当業者であれば適宜設定できる事項にすぎない(同8頁12行~9頁6行)ことは、当事者間に争いがない。

  この事実による限り、本件特許請求の範囲第1項に記載されている本件第1発明の構成は、引用例発明1と実質的な相違はないことになるが、本件第1発明と引用例発明1との実質的な相違点が、特許請求の範囲第1項には明示されていない前記判決が認定した審決でいう構成「A」すなわち「駆動装置すなわちモータ及び2個の減速機が、何れも混合槽に直接取り付けられ、混合槽と一体形をなしている構成」若しくは「モータを含む駆動装置を混合槽に支持せしめて一体化する」点を、本件第1発明が具備しているのに対し、引用例発明1がこれを具備していない点であることは、当事者間に争いがない。

  (2) 審決は、引用例4(甲第7号証)について、「これが本件特許に係る出願の出願前頒布されたとするに足る証拠はない」としている。しかし、被告は、本訴において、引用例4の公知性について争っていないし、同引用例の「D10.62」との記載から、同引用例は1962年12月10日付けのものであると推認することができ、これによれば、本件優先権主張日前に頒布されたものであると認めることができるから、引用例4を本件特許の無効審判における公知資料として判断すべきである。

  そして、引用例4には、モータなしのウォーム軸上減速機(甲第7号証17頁)とモータ付きのウォーム軸上減速機(同19頁、1.4図)が記載されていることが認められる。

  (3) 昭和37年11月30日発行の「歯車便覧」(甲第13号証、甲第15号証)によれば、減速機の分野において、軸上減速機もモータ付き減速機も周知であると認められ、かつ、引用例4には、上記のとおり、モータ付き減速機のうち軸上型のものが記載されている。そして、上記「歯車便覧」には、軸上減速機につき、「減速機が直接被動機軸上に取付けられ減速機の基礎が不要となる.」(甲第13号証399頁)と記載され、モータ付き減速機につき、「単一の動力源として占有面積が少なくてすむことおよびどの用途にも適用できる融通性のあることなどの利点があり、非常に広範囲に使用される。」(同号証400~401頁)と記載されており、これによれば、本件優先権主張日前、軸上減速機及びモータ付き減速機のこれらの特長が一般に知られていたことは明らかである。

  また、本件第1発明における課題は、本件明細書(甲第3号証の1、2)に記載されているとおり、「従来の2軸強制混合機における2個の混合軸は連結ホイールによりシンクロナイズされ、この連結ホイールは混合機の基礎とは別の所に設けた基礎上に据付けられた別個の駆動装置によって駆動される。この駆動方法においては大きい空間を要すること及び多くの費用を要するという欠点がある。・・・本発明の目的は上述の様な欠点を除去し、自己支持形でかつ一体形というコンパクトな構造によつて、より新しく簡単な混合機を提供し、費用及び空間を節約」(甲第3号証の1、3欄2~14行)するというものであるが、「費用及び空間を節約」するという課題は、混合機に限らず、あらゆる装置についていえる一般的な課題、つまり、装置の構成を考える場合における自明な課題にすぎない。

  そして、この課題と軸上減速機及びモータ付き減速機の前記特長とを併せ考慮し、引用例発明1の混合機を前記自明の課題に従って占有面積を節約しようとして、引用例4に記載された前記軸上型モータ付き減速機を採用することは、当業者であれば容易に想到できることであり、そこに格別の困難があるということはできない。

  また、引用例6(甲第9号証)に記載されているように、2軸型混合機において、2軸それぞれに減速機を設け、これら2台の軸上減速機の入力軸相互をカップリングにより接続して共通の駆動軸から動力を伝達するようにしたものは、既に知られていたものである。

  そうすると、上記引用例6に記載された2軸型減速機の構成を考慮し、引用例発明1の混合軸の駆動機構に代えて、引用例4に記載された前記モータ付きの軸上減速機1台と、引用例4にも記載された周知の(モータなしの)軸上減速機1台を、引用例発明1の混合機の2本の混合軸に装着したうえで、これら2台の軸上減速機の入力軸相互を、引用例6にも記載され、前示「歯車便覧」にも記載されている周知のカップリング(甲第15号証398~399頁)により接続することも、当業者が周知技術の適用として普通にできることと認められる。

  しかも、軸上型のモータ付き減速機は、減速機が直接被動機軸上に取り付けられるもの、すなわち、引用例発明1の混合機においては混合軸に取り付けられるものであり、この混合軸が、本件第1発明における「混合軸31は潤滑油室により外部に対してシールされた軸受3を介して混合槽1に保持されており」との構成を備えていること(審決書8頁12~16行)は前示のとおりであるから、上記2台の減速機を引用例発明1の混合軸に取り付けた状態においては、本件第1発明の構成「A」すなわち「駆動装置すなわちモータ及び2個の減速機が、何れも混合槽に直接取り付けられ、混合槽と一体形をなしている構成」となることは明らかである。

  (4) 被告は、本件第1発明の目的ないし作用効果に関して、本件第1発明は、「スタフイングボツクス構造による混合槽のシールは保守が非常に困難である」(甲第3号証の1、3欄9~10行)という従来装置の欠点を解決するものであり、前記構成「A」は、混合槽とパッキン室の位置決めに関連がある旨主張する。

  確かに、本件明細書(甲第3号証の1、2)の発明の詳細な説明中には、従来装置の欠点として、大きい空間と多くの費用を要することのほかに、上記被告引用のことが記載され、「本発明の目的は上述の様な欠点を除去し、自己支持形でかつ一体形というコンパクトな構造によつて、より新しく簡単な混合機を提供し、費用及び空間を節約し保守の必要が少なく、総合的な見地からより経済的な2軸強制混合機を製作することにある。」(甲第3号証の1、3欄11~16行)と記載されているが、これに続く、「即ち、混合槽は自己支持構造であり、駆動装置、混合軸及びそのシール装置、混合具及びローラ状の排出用滑り弁のいずれもが混合槽に直接取付けられて一体形を成すことにより前述の欠点を解消することができる。」(同号証の1、3欄16~20行)との記載によれば、上記効果は、本件第1発明の構成に基づく効果として記載されていると認められ、そうである以上、上記効果は本件第1発明の構成「A」を含めた構成から当然に生ずる効果であるというべきであるから、本件第1発明の構成の容易推考性の判断に特段の影響を及ぼすものということはできず、被告の上記主張は採用できない。

  (5) 結局、本件第1発明は、引用例発明1の混合機の駆動装置について、減速機に関する周知の技術事項と、引用例6にみられるような2軸型の軸上減速機とを併せ考慮し、2軸型の軸上減速機の1つに引用例4記載のモータ付き軸上減速機を採用することによって、当業者が容易に想到することができたものというべきである。

  したがって、本件第1発明と引用例発明1との相違点についての審決の判断は誤りであるから、取消事由は理由がある。

  (6) そうである以上、本件第2~第4発明についても、本件第1発明と同様、構成「A」に関する審決の判断は誤りというべきであり、これについても、取消事由は理由がある。

 2 よって、原告の本訴請求は理由があるから、これを認容し、訴訟費用の負担及び上告のための附加期間の付与につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条、158条2項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 芝田俊文 裁判官押切瞳は転補のため、署名捺印することができない。 裁判長裁判官 牧野利秋)

 

 

 

 

昭和59年審判第9911号

 審決

 広島県府中市元町77番地の1

 請求人 株式会社 北川鉄工所

 広島県福山市南町2番6号 山陽ビル

 代理人弁理士 忰熊弘稔

 東京都中央区日本橋本石町4丁目2番17号石田ビル8階 石川国際特許事務所

 代理人弁理士 石川泰男

 ドイツ連邦共和国 8ミユンヘン ニユンヘンブルガーシユトラーセ 120番地

 被請求人 ベーハーエス バイエリッシェベルク ヒユッテンウント ザルツヴェルケ アチェンゼルシャフト

 大阪府大阪市中央区日本橋1丁目18番12号鎌田特許事務所

 代理人弁理士 鎌田文二

 大阪府大阪市中央区日本橋1丁目18番12号鎌田特許事務所

 代理人弁理士 鳥居和久

 上記当事者間の特許第1088763号発明「2軸強制混合機」の特許無効審判事件について、平成1年4月6日にした審決に対し、東京高等裁判所において「この審決を取り消す」旨の判決(平成元年(行ケ)第189号-平成2年6月7日、判決言渡-)があったので、さらに審理をし、次のとおり審決する.

 結論

 本件審判の請求は、成り立たない.

 審判費用は、請求人の負担とする.

理由

Ⅰ 経緯

 本件特許第1088763号発明(以下、適宜「本件特許」、「本件発明」という)は、昭和47年6月7日(優先権主張 1971年8月20日 西ドイツ国)の出願に係り、出願公告(特公昭54-37335号公報)を経て、昭和57年3月23日に設定の登録がなされたものである.

Ⅱ 本件発明の要旨

 本件発明(発明の数4)の要旨は、明細書(特許法第64条第1項の規定による昭和55年12月5日付「手続補正書」を含む)及び図面の記載からみて、その「特許請求の範囲」第1~4項に記載の次のとおりにあると認められる。

 1.特にコンクリート、ビチューメン混合物および石灰砂岩の混合に用いられる2軸強制混合機であって、混合槽を備え、該混合槽中に設けた複数の混合具を有する2本の混合軸は、水平に配置され、減速機と少なくとも1台の駆動モータとにより互いに反対の回転方向に同期駆動され、減速機の入力軸と駆動モータの軸とは混合軸に対して直角に配置され、該混合具の周縁部の描く円は互いに交わり、さらに該混合槽の下方部分に排出用滑り弁を有する2軸強制混合機において、混合槽1は自己支持構造であり、駆動装置5の減速機9、10は混合槽1に軸承された混合軸31に着脱自在に設けられ、混合軸31は潤滑油室により外部に対してシールされた軸受3を介して混合槽1に保持されており、ローラ状の排出用滑り弁35は混合槽の下部に滑り弁軸36、37及びベアリング47を介して承台38に取付けられていることを特徴とする2軸強制混合機。(以下、「第1発明」という)

 2.前記混合機の駆動装置5は取付位置調整可能としたモータ4、混合軸31に取付けられた2個のウォーム歯車減速機9、10及び2個の取付台11、12より成り、前記ウォーム歯車減速機9、10は中間にある弾性カッブリングにより接続することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の2軸強制混合機。(以下、「第2発明」という)

 3.前記駆動装置5の取付台11、12の支持力の作用線が2本の混合軸31の中心を結ぶ線a~bと略平行にあることを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の2軸強制混合機。(以下、「第3発明」という)

 4.2つの取付台11、12は連結ロッド22、23、24及び26により混合槽1に固定された支持ブラケット25に共に連結されていることを特徴とする特許請求の範囲第3項記載の2軸強制混合機。(以下、「第4発明」という)

Ⅲ 当事者の主張

 1.請求人の主張

 請求人は、甲第1~9号証、甲第10号証の1及び2並びに甲第11号証を提出し、本件特許は、特許法第36条第4項又は第5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり(以下、「無効理由1」という)、また同法第29条第1項第3号又は同法同条第2項の規定に違反してされたものである(以下、前者を「無効理由2」、後者を「無効理由3」という)から、無効にされるべきである旨主張している。

 2.被請求人の主張

 被請求人は、請求人が主張する無効理由1~3には何れも理由がない旨主張している。

Ⅳ 当審の判断

 1.無効理由1について

 請求人は、この理由の根拠として、明細書及び図面には、本件発明の構成要件である「駆動装置5の減速機9、10は混合槽1に軸承された混合軸31に着脱自在に設けられ」における“着脱自在”につき、これがどのような構造からなるものか、またどのような作用効果を奏するのか何ら記載されていない、というものである.

 (1)本件発明の明細書及び図面(甲第10号証の1及び2)には、上記“着脱自在”につき、その具体的な構造及びその作用効果に関する明示の記載は見当たらない。

 (2)しかし、そこにはその減速機として「ウォーム歯車減速機9、10」を用いることが記載されており、そしてこのようなウォーム歯車減速機が被動機械軸(本件発明では「混合軸31」)に対して着脱自在に差し込む形式としうることは当業者には自明のことであり、その作用効果についても当業者であれば容易に理解しうるものと認められる。

 (3)してみると、上記(1)のとおりただ明示の記載がない点をもって、本件発明の明細書中「発明の詳細な説明(含、図面)」及び「特許請求の範囲」の欄の記載に“着脱自在”に関する不備があるとすることはできないから、請求人の無効理由1に係る主張は採用できない。

 2.無効理由2及び3について

 (1)甲第1号証(実公昭36-29975号公報)には、次の〈1〉~〈3〉等の構成を備えた「特にビツメンタール、ピッチ、アスフアルトビツメン等のようなビツメン性接着剤と顆粒状、粉末状あるいは徴粉状の形態の鉱物性の固体との混合物の製造装置」が記載されている。

 〈1〉 混合槽1を備えた2軸強制混合機であり、その中に水平に配置され、軸受7に支承された2本の混合軸5、6が互いに反対の回転方向に同期駆動されるようになっていること。

 〈2〉 混合軸5、6には複数の混合腕10及び抛射翼11よりなる混合具が配設され、この混合具の周縁部が描く円は互いに交叉しながら回転する構成となっていること。

 〈3〉 混合槽1の下方部分に排出用の回転摺動子3が付設されていること.

 (2)そこで、本件第1発明をこの技術と対比し、検討する。

 〈1〉 先ず、両者は、ともに混合槽を備える2軸強制混合機であり、その用途についても共通し、また第1発明における「ローラ状の排出用滑り弁35」は、この技術における「排出用の回転摺動子3」に相当している。

 〈2〉 そして第1発明の場合と同じく、この技術でも、その混合槽中に複数の混合具を有し、水平に配置された2本の混合軸が互いに反対の回転方向に同期駆動されるようになっており、またその駆動は、この技術でも通常減速機を介する駆動モータにより行われるものと認められる。

 〈3〉 また、第1発明では「混合軸31は潤滑油室により外部に対してシールされた軸受3を介して混合槽1に保持されており」というものであるところ、これは甲第1号証に記載の技術でも実質上備えており(第1~2図等参照)、また第1発明における「減速機9、10は混合槽1に軸承された混合軸31に着脱自在に設ける」点は、減速機と混合軸との設置態様として通常のことであるし、さらに第1発明でいう「減速機の入力軸と駆動モータの軸とは混合軸に対して直角に配置する」点及び「ローラ状の排出用滑り弁35は混合槽の下部に滑り弁軸36、37及びベアリング47を介して承台38に取付ける」点は、ともに単なる設計上、当業者であれば適宜設定しうる事項であるに過ぎない。

 (3)しかし、本件第1発明の前記要旨とする構成及び明細書中「発明の詳細な説明」の記載全体の趣旨に徴すれば、第1発明は、以上「(2)の〈1〉~〈3〉」のほか、「駆動装置すなわちモータ及び2個の減速機が、何れも混合槽に直接取り付けられ、混合槽と1体形をなしている構成」(以下、構成「A」という)をも要旨とする(頭記判決の「判決書」15丁裏第1行~17丁表第2行参照)ものであるところ、甲第1号証記載の混合機では「モータを含む駆動装置を混合槽に支持せしめて1体化する」点が記載されていないので、両者はこの点で相違しており、そして第1発明では、その点により、従来の2軸強制混合機では「多大の空間及び費用を要し、またスタフイングボックス構造による混合槽のシールは保守が非常に困難である」という問題点を解決したというものである。

 したがって、本件第1発明は、甲第1号証に記載の技術に対してこの点において別異のものであり、また甲第1号証中別途この点を示唆する事実は認められない。

 (4)次に、甲第2号証(米国特許第2961224号明細書及び図面)には、「アスフアルトプラント用バツグミル」と称して2軸強制混合機について記載されているが、これは前記甲第1号証に記載の装置と同様のものであるし、また甲第3号証(「BAU UND BAUINDUSTRIE 1/1963」第13~14頁、第17頁)には、幾つかの混合機が記載されているが、何れも本件第1発明では備える前記「A」の構成を欠くものであり、また両甲号証中この点に関して示唆する事実は認められない.

 (5)また、甲第5号証(「CAVEX DBP」と題するパンフレット)は、これが本件特許に係る出願の出願前頒布されたとするに足る証拠はないが、この点は措くとしても、そこにはただ差し込み式ウォーム伝導装置、モータ(とみられるもの)、減速機(とみられるもの)等の配置を示す図面等が記載されているに過ぎず、また甲第6号証(「BULLETIN 7100、Aug. 1960」第18~19頁)には、モータと被駆動体との簡単な配置図等が記載されているだけのものであるから、これら甲各号証をもって第1発明における「A」の構成等につき云々することはできない。

 (6)そして、本件第1発明で備える前記「A」の構成は、本件第2~4発明でも備えるものであるから、以上(1)~(5)の点はこれらの発明でも同様である。

 したがって、本件第1~4発明は、甲第1~3号証及び甲第6号証に記載された発明とは認められず、またこれら甲各号証に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

 (7)なお、本件第2~4発明では「前記ウォーム歯車減速機9、10は中間にある弾性カップリングにより接続する」点をも備えるところ、甲第7号証(特公昭45-35954号公報)には、「鋳型用砂粒等の如き材料を調整する装置」に関し、その一環として、上記点の場合と同じく径違歯車(減速機)への接続をカップリング装置を介して行うものが記載されている(第2図の下方部等)。

 しかし、第2~4発明では既に前記「A」の構成をも備えるものであるから、これら発明の上記点に関する甲第7号証による示唆如何が前記「(6)」の判断を左右するものではない。

 (8)以上のほか、甲第4号証(特許異議答弁書)及び甲第11号証(特許異議の決定謄本)は、何れも本件特許に係る出願の審査の過程で行われた手続きに関するものであるが、そこに記載の内容をみても、前記「(6)」の判断に係わる事実は認められない。

 (9)以上(1)~(8)のとおりであるから、請求人の無効理由2及び3に係る主張は採用できない。

 3.また、甲第8号証(本件特許の特許原簿)及び甲第9号証(昭和58年(ワ)第1371号特許専用実施権侵害差止請求事件呼出状)は、無効理由1~3に直接関与するものではない.

Ⅴ 結論

 したがって、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明の特許を無効とすることはできない。

 よって、結論のとおり審決する.

 平成4年4月30日

 審判長 特許庁審判官 (略)

  特許庁審判官 (略)

  特許庁審判官 (略)

  特許庁審判官 (略)

  特許庁審判官 (略)

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